豆知識
【アルミの特性】
 冷却を目的とした媒体は、ほとんどがアルミで製作されています。これはアルミの熱伝導率が非常に高い為なのですが、この特性
を生かすと、実は冷たいものを暖めるのにも適しているんです。例えば、冷凍庫で冷凍されたお肉を、アルミ鍋の上に置いてみて下さい。
室温にもよりますが、夏で約2倍、冬場では約3倍のスピードで解凍出来ます。
【ヒートシンクの豆知識】
 冷却用フィンの付いたアルミ製の冷却媒体は世の中に沢山あります。コンピュータのCPUや電源もそうですが、身近なものですとオートバイの空冷エンジンなどもそうです。
通称、フィンタイプのメリットは"表面積を広く取る事により、大気と触れる面積を確保して、外気との熱交換作用
で温度を下げる"と一般的に言われています。
しかし、実はもっと奥の深い緻密な理由もあります。この事を無視すると、「フィンをつけると温度がなかなか下がらない!」
という事ることにもなりかねないのです。

 自然空冷(電動ファン等が無いのもの)のフィンは、風が送られない為、フィンとフィンの隙間が狭すぎると、その間に熱が滞積します。
そうすると、フィン自体の熱の逃げ場が序々に無くなって来ます。ある程度フィンが熱を持つまでは、温度上昇は緩やかですが、一度熱を持ってしまうと、発熱を停止した(もしくは媒体の仕事量が少なくなった)場合、本来は少しづつ温度が下がるのに、中々下がらないと言う事になってしまいます。本来は温度が下がるばずのに、温度を保ったまま、また発熱量が増える仕事が増えたら、更に悪循環です。

 
【設計者からのうんちく】
 お約束みたいですが、聞いて頂きたいので是非書かせてください・・・

 限られたスペースでフィンの隙間を広くし過ぎると、フィンの数が減ってしまい表面積が稼げません。狭すぎると上記の様な状況に
なってしまいます。
ノートパソコンの裏側の温度は、機種や使用環境、室内の温度(季節)などに左右されますが、最高でおよそ40℃前半から60℃を超えるものもあります。
CPUのクロック速度やメモリー容量、OSにより変化するため、一概には言えませんが、バグやフリーズもこの温度で使用し続けた
場合、発生する可能性が高くなります。
極力温度を下げるため、我々が基準値としたのが「90℃にまで上昇したパソコンの温度を1割以上下げる」事でした。
これを基準に計算したフィンの隙間は3mmです。
但し、小さなボディの中に電子部品を詰め込んだノートパソコンには、今後発売されるものも含め、もっと熱を持つものもある可能性も
あります。そういったマージンも見た上で、ノートシンクのフィンの隙間は全て3.4mmで製作致しました。